主な登場人物

蟹太
「みなさんこんにちは。
　この前いろいろあって、『36枚撮りのフィルム』というお題で
　怪談を考えてくることになった蟹太です。」

通子
「同じく通子です。」

博士
「〃博士。」

蟹太
「じゃあ俺からいくぜ。」

通子
「どうぞ。」

博士
「ああ行け行け。」

蟹太が考えた『36枚撮りのフィルム』

　みんな「36枚撮りのフィルム」っていう話を知ってるかな。
　知らないかな。知ってるかな。どうかな。
　まあいいや知らないと仮定しよう。
　とにかく「36枚撮りのフィルム」っていう怪談があるんだよ。
　これヤバい。マジヤバい。マジハンパねー。
　まずね、この「36枚撮りのフィルム」っていう言葉ね、
　これをを聞いた時点でヤバい。終わってる。もう終わってる。
　なぜかというと、「36枚撮りのフィルム」という言葉を聞いて、
　その次の深夜２時になると、「36枚撮りのフィルム」がやってくる。
　そんで、窓をコンコンって叩く。これに気付くとヤバい。
　寝てたりして気付かなければいいけど、気付くとヤバい。
　音に気付くと、36枚撮りのフィルムに殺されるから。
　いや本当だって。マジ真実。超本当。超殺される。
　実際、俺の友だちの兄ちゃんの知り合いが殺されたっつうの。
　なんか新聞にも載ってたらしい。いやマジ。
　今晩、気をつけろよ。耳栓用意したほうがいいかも。

通子が考えた『36枚撮りのフィルム』

　写真を撮るのが趣味のＡさんとＢさんがいて、二人は親友だった。
　あるとき、二人で山の写真を撮ろうという話になって、
　そのために山荘を借りて、二人で合宿をしようってことになったの。
　その山荘は暗室がある山荘で、ＡさんとＢさんはそれまでにも
　ちょくちょく利用していたので、二人とも場所は知っていたの。
　でも、Ａさんは急に都合が入って、ちょっと遅れて到着することになったのね。
　遅れるよ、ってＡさんが連絡すると、Ｂさんは、じゃあ先に行って待てるよって話になって。
　結局、Ａさんは夜の10時過ぎに到着したの。Ｂさんは昼前には着いていたはずなんだけど。
　でね、Ａさんが山荘に着いてみると、大きな鍋にシチューが出来上がっていて、
　机の上に
　
　36枚撮りのフィルム
　
　が置いてあるだけで、Ｂさんがいなかったの。
　Ａさんは用事を終わらせて急いで来たものだから、とにかくお腹が空いていて、
　それでとりあえずシチューを食べて一息ついたのね。
　Ｂさんが夜の写真を撮るのが好きなのを知っていたので、
　Ａさんはとくに不思議に思わずにＢさんが帰ってくるのを待ったんだけど、
　Ｂさんは夜遅くなっても帰ってこない。
　待ち続けたＡさんはとにかく暇になって、寝る前にＢさんの残したと思われる
　
　36枚撮りのフィルム
　
　を現像することにしたのね。
　Ｂさんのいたずらかもしれないと思ったから。Ｂさんはいたずらが好きなの。
　それでフィルムを暗室に持っていって現像してみると、
　やっぱり１枚目にはＢさんがカメラに向かってピースしているのが映ってたのね。
　で、２枚目には縄で縛られたＢさんが映っていて、
　３枚目には首をナイフで刺されたＢさんが映ってたの。
　４枚目、５枚目と進むにつれてＢさんは解体されていって、
　ちょうど36枚目で調理されてシチューが完成していたんだって。

博士が考えた『36枚撮りのフィルム』

　君たち火星は好きかな。
　そう火星。空の。赤いやつ。赤い星。
　わしは好きじゃ。火星大好き。
　６万年ぶりに地球へ大接近した2003年の火星は君たちの記憶にも新しいと思うが、
　実は2005年10月28日にも地球へ大接近したのじゃ。
　今世紀で一番近いよ。次にこんなに近づくのは280年くらいしないとなあ。
　そもそも火星の近日点は２年２ヶ月の周期で――
　え？　怪談？　36枚撮りのフィルム？
　いや、わしのはすごく怖いから。
　どうしても話さなきゃ駄目？
　わかったよ。話すよ。覚悟しとけよ。
　でもやっぱり、君たちのためを思って伏せておこう。
　どうしても知りたい人は、以下を選択反転してどうぞ。
　
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　あなたが考える一番怖いシチュエーションを想像して下さい。

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